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SIerの今後〜SIerは将来性がないってホント?〜

 

 あらゆるところにITの技術が溢れるこの時代を支えてきたSIer。しかし現在、その将来性が危ぶまれています。

どうしてSI業界は下降傾向にあるのか。SIerの将来は本当に真っ暗なのか。

結論からいうと、今後もSIerの需要がなくなることはありません

ではなぜ、SIerの将来性の無さが叫ばれているのか、SIerの需要は無くならないと断言できるのはなぜなのか、この記事を読んで「SIの今後」について考えるきっかけにして頂ければ幸いです。

 

目次

1.そもそもSIerって?

   -1 SIerについて

   -2 SIerの歴史

2.「SIerは将来性がない」と言われている理由

  -1 クラウドの普及

  -2 グローバル展開ができない

3.本当の「SIerの今後」

  -1 大規模なシステムはクラウド化できない

  -2 システム開発の需要は無くならない

  -3 IT人材の不足

4.まとめ

 

 

1そもそもSIerって? 

-1 SIerについて

 

 まずは、「SIer」についてです。

様々なソフトウェアやハードウェアを駆使して、ITシステムを作り出すことを「システム・インテグレーション(System Integration)」、略して「SI」と呼び、このSI業務を行う企業のことをSIerといいます。「er」がついているため、よく「人」のことだと勘違いされがちですが、SIerという言葉は主に「企業」に対して使われます。

 

この「SIer」という言葉は、実は日本で生まれた言葉なんです!

 

-2 SIerの歴史

 

 時を遡ること約30年前。世界的にIT化が進んでいた90年代、急激なIT技術の進化によりエンジニアが不足し、自社内で情報システムを構築できずに外注する企業が多いことからSIerが発生しました。さらに金銭面において、日本の多くの企業が不況でITに資金を出せない状況だったことから、多くの大手企業のSIをSIerが請け負うことで、日本のIT化を支えました。

 

SIについてはこちらの記事も参照

 

このように、日本社会の需要に応えるようにして誕生したSIerが、今「将来性がない」と言われるようになってしまったのはなぜなのでしょうか?

 

2.「SIerは将来性がない」と言われている理由

 

  将来性の無さが叫ばれている理由はいくつかありますが、今回はその中でも特に2つ取り上げることにします。

 

-1 クラウドの普及

 

 近年では「クラウドサービス」の利用が主流になってきていることで、SIerの需要が下がってきていると言えます。

 

「SaaS」「PaaS」など、IT業界に興味を持つ方であれば一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?これらは、プラットフォームやインフラなどのITシステムをインターネット経由でサービスとして提供・利用する形態のことで、これがいわゆる「クラウドサービス」です。

これまで企業は自社内でシステム構築を行うのが一般的でした。しかし、近年のクラウドサービスの台頭により、システムは構築するのではなく、すでにあるものを利用するのがスタンダードになってきています。日本のSIerが最も得意としていた「オーダーメイドのITシステム開発」の需要自体が低下しているわけです。

 

金銭面においても、費用をかけてシステムを開発するSIerより、クラウド化する方がコストを抑えられるため、企業にはメリットがあります。

この「クラウドの普及」が、SIerの需要低下を加速させている最大の要因だと考えられています。

-2 グローバル展開ができない

 

 そして、もうひとつ理由としてあげられるのが、「グローバル展開ができないこと」です。

 

冒頭の「1-2 SIerの歴史」でも紹介した通り、「SIer」という言葉は日本で生まれたもので、海外では通じません。もともと日本独自のビジネスであり、海外にはSIerの構造自体存在しないのです。また、海外は自社で情報システム部門を保有していることから、そもそもSIerの需要がありません。日本企業のグローバル化が進む中、海外にビジネスを広げることができないSIerは将来的にも厳しい状況になるかもしれないと言われています。

 

 ここまで、SIerは将来性がないと言われている理由について説明してきましたが、本当に将来性がないのでしょうか?このまま衰退の一途を辿り、やがて消滅してしまうのでしょうか?

 

3.本当の「SIerの今後」

 

 導入にもある通り、答えはNOです。今後も、SIerの需要がなくなることはありません。そう言い切ることができる理由についてこれから説明していきます。

 

-1 大規模なシステムはクラウド化できない

 

「2-1 クラウドの普及」でお話しした通り、現在SIerへの委託に代わってクラウドサービスが普及しています。しかし、政府系機関や公共性の強い事業者、金融機関などの大型プロジェクトはSIerでなければ受注できないのが実情です。

つまり、大規模なプロジェクトにおいてはSIerの独壇場なのです。

また、こうした大型案件はほぼ毎年と言ってもよいほど発生するため、常に一定の需要が見込まれます。

 

-2 システム開発の需要は無くならない

 

現在、日本企業の多くは既に何年も前に導入した古いシステムを使用しています。また、使用しているシステムが古いことから、クラウドサービスなどの最新技術を導入できないという問題も抱えています。

そのため日本社会においては、今後も古いシステムを更新するという仕事が減ることはなく、SIerの需要も続くと言えるでしょう。

 

-3 IT人材の不足

 

現在の日本では、SI業界自体は下降傾向にありますが、IT人材は常に不足している状態にあり、将来的にも人材不足はより深刻な状況になっていくと言われています。

経済産業省の調査※では、2030年には最大43.8 万人のIT人材が不足する見込みです。

※経済産業省「IT人材需給に関する調査」<<https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf>>

そのため、企業のシステム開発を担うSIerの需要は今後も続いていくと言えるでしょう。

4.まとめ

 

 いかがだったでしょうか?「IT業界に興味はあるけど、SIerの将来性が不安…」「実際のところはどうなんだろう?」そんな不安や疑問が、この記事で解消されたのではないでしょうか。これを機会にぜひ、SIerに興味を持っていただけたら嬉しいです!

 

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